日展

12月8日、「改組 新 第四回 日展」の鑑賞に行ってきました。会場は、国立新美術館です。
会期が明後日までという差し迫った日で、公募展の「日展」以外にも2つの企画展が開催されている賑やかな美術館でした。

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1つ目の企画展は、元プロボクサーから正規の教育を受けずに建築を独学で学んだという異色の経歴で知られる建築家の安藤忠雄氏の企画展。世界中でひっぱりだことなった巨匠安藤氏の作品群を写真や模型展示などで味わえる大規模展覧会とあり、大盛況でした。
また、アニメーション監督・新海誠氏のデビュー15周年を記念した新海誠展も「君の名は」の大ヒットからファンも幅広く、こちらの企画展も大盛況でした。
そんな企画展と一緒に開催されていたのが、「日展(日本美術展覧会)」。

 

日展は、日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書の五つの部門からなる総合美術展で、世界的にも類を見ない規模の公募展です。全国の幅広い年齢の方が応募し、その中から厳しい審査を経て選ばれた作品が陳列されます。今年の応募総数は、11,581点。その中で陳列点数は2,931点になるそうです。大きな大きな美術館の1階から3階までに展示された総数約3,000点の作品を全て見学するのには、一日では足りないかもしれません。

 

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我が校で「日展」を鑑賞に行ったのは今回が初めてではなく、過去にも行っています。しかし、前回は時間的に見学する時間が少なかったため、全てを見ることができませんでした。今回は時間を多く取ったので、ゆっくりと作品を鑑賞することができたのではと思います。
会場内では、メモを取りながら作品を鑑賞する生徒や難しい顔で作品と向かい合っている先生、真剣に作品の細かなところまで見ている生徒がいました。「まるで写真みたいですね。」と絵を見て感想を述べる生徒。「先生、ここに鳥がいるよ。ここにも。ここにも。可愛い…」と大きな大きなキャンパスの中にいる小さな小さな小鳥を指さす生徒。
また、絵を見て、自分の視点で絵に題名を付けてみるという新しい鑑賞方法で楽しんでいた生徒たちもいました。
生徒たちは、作品を見ていろんなことを感じていました。一度見た記憶は、脳全体に行き渡り、忘れてしまってはいても、濃度は薄まっていてもも脳のどこかにその痕跡を残しています。そして、それは生徒たちの成長に確実にプラスになっていくことでしょう。

 

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美術展は、クラシックコンサート同様に「敷居が高い」「美術はわからない」「知識がないから楽しめない」という人も多いと思いますが、そもそも美術を楽しむためには美術に関する知識なんて必要ありません。絵を見て、難しい解釈が必要とか、高度な洞察力が必要とか、美術の知識が必要とか…そんなもの一切必要ないのではと思います。美術は、自分が見て感じるだけで良い。そこに正しいとか間違っているという境界線はないのだから。
みなさんには、どんどん美術展に行って、作品を見て感じて欲しいと思います。

 

今回の日展鑑賞を通して、生徒たちが美術に触れる楽しさを見出したこと、この機会をきっかけとして絵を描いてみたいと思えたこと、自分が気に入る絵に出会えたこと、また美術館に行ってみたいと思えたこと、とても嬉しく思います。
生徒の感想の中にもありますが、見たり聞いたり体験したりすることはとても良いことです。色々なものを見て、色々なことを聞いて、そして自分で試してみる。生徒たちに出来るだけたくさんの機会を与えてあげたいと思える「日展」でした。

 

改組 新 第4回 日展 大臣賞・東京都知事賞 受賞者

内閣総理大臣賞
日本画 「妖精の女王(シェークスピア 真夏の夜の夢)」田島 奈須美
洋画  「伊須気余理比売」  小灘 一紀

文部大臣賞
彫刻  「エトルスク 古代の記憶」  池川 直
工芸美術 「舞い降りたイシュタル」 相武 常雄
書   「碧潯」 真神 巍堂

東京都知事賞
日本画 「陽炎」 東 俊行
洋画  「Orange Symphony」 熊谷 有展
彫刻  「遥浪譜」 堤 直美
工芸美術 「悠游」 原 典生
書   「春にむかって」  日比野 実

 

今回お世話になった方

国立新美術館
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

日展事務局
〒110-0002 東京都台東区上野桜木2-4-1

 

生徒の感想

M.Iさん
今回は日展を観に行きました。いろいろと部門があるようでしたが、私は一つの階を中心に観ることにしました。
私が観たところには、日本の画家が描いた作品が展示されていました。様々な種類の絵があり、鮮やかな色を使ってカラフルに描かれた絵、優しい色を使って描かれた絵、水墨画のような白と黒だけを使って描かれた絵などがありました。その中でも私は優しい色を使って描かれた絵がいいなと思いました。絵本などに出てきそうな小さな子供が描かれたものは、明るくやわらかい色が使われていて、人の温かさなどが感じられるようでした。他の絵では、「樹」というとてもシンプルな題名の絵がありました。その絵に魅かれた理由は、最初は自分が好きな青色が使われているからでした。その絵をよく見てみると、大きな樹が真ん中に描かれており、背景には都会を思わせるようなたくさんのビルが小さく描かれていました。大きく描かれた樹は、とても偉大な感じがして、いつでも見守ってくれるようにも感じました。
また、先程の絵とは対照的に明るい黄緑色などを使った木の絵もありました。やわらかい優しい色が使われていて、心が落ち着くものだなと思いました。対照的とは言いましたが、「いつでも見守ってくれる」ような安心感はこの絵にも感じられ、その感情は木が与えてくれるものなのかとも思いました。
このように、様々な絵からいろいろなことが感じられて、美術館などにあまり行く機会がなかったので良かったと思いました。興味がある・ないに関わらず、いろいろなものを見たり聞いたりすることは、自分にとって良い経験となると思うので、これからもそういった機会があれば良いと思いました。

A.Iさん
美術鑑賞のために美術館へ行くのは、本当に久しぶりでした。今回の日展のように沢山の人の作品が出点されている展覧会は、様々な世界観や色彩感、メッセージ性などに溢れていて、本当に吸収したいものが多いです。
生憎、携帯の電源が死んでいたので、特に気に入った作品をメモに残してきました。
パステルカラーの丸目な花弁の花がたくさん描かれている絵は、線を埋め込むことで花弁に立体感が出ており、驚きました。色合いも質感もクッキーのアイシングのようなキルティングのようなふわふわ感で面白かったです。
また、それとは逆に線を浮き立たせている絵も多数見かけました。中でも気に入ったのは、鵜の大きな作品です。羽根一枚一枚の線をくっきりと立体にさせていて、また、体毛の黒に青や赤、黄色などの原色も乗せていたことで、羽根の立体感に加え、その黒々しさに鮮やかさも感じられたのは圧倒的でした。
”色”の面では、金や銀の絵の具を使っている作品が多かったようにも思われます。和物の工芸品はあまり好きではなく、鑑賞は絵のみでしたが、日本画も西洋画もどちらも金や銀を使っていた作品は多かったです。ある作品では、丸い水槽の中で泳ぐ金魚が描かれていたのですが、金の絵の具で大まかな形を描いた上に、赤や橙の水彩で色を付けているようで、目を引く上に透明感もあって、本当に驚きました。
今回一番私の中で魅力的だったのは、海辺に切り立った岸壁のすぐ上を鴉が飛んでいる絵でした。まさにカメラで撮ったかのような瞬間性・写実性もこの上ないのですが、何より色に惹かれました。全体的に彩度はほぼ皆無なのですが、額縁の内側にだけ金が使われていて、すごく印象に残っています。
大学生になったら、私も何か大きな作品作りに挑みたいと思える機会でした。

M.Wさん
私たちは先週の金曜日、日展に行ってきました。ジブリ美術館にも行ってみたかったですが、それは個人的に行きたいと思います。私はあまり外出が好きではなかったので、プラドアカデミー高等学院にきて総合学習で様々な場所を訪れるのがとても楽しいです。
日展にはたくさんの展示がありました。上の階には書道などの展示等もあったようですが、階段をのぼるのが面倒だったので行きませんでした。なので日本画のエリアを3周くらいしてしまいました。先輩たちはとてもゆっくり見ていたので、何度も鉢合わせたりしました。私も気に入った絵を見つけられました。「遠き日の思い出」という題で、可愛らしい色使いの家が描かれていました。黄色がベースになっていて、少し古めいた様子の絵でしたが、ずっと見ていたいと感じました。もう1つ机の上に渋谷のスクランブル交差点の模型が作られている絵が印象に残っています。交差点を歩く人が細かく描かれていて、渋谷のビルもとてもリアルに描かれていました。1つの絵にたくさんの情報が詰まっているので、ずっと見ていて飽きない絵でした。
私も絵を描くのですが、美術的な絵はもうしばらく描いていないので、また油絵をやりたくなりました。日本画にも触れていたのですが、転校してしまって完成させられなかったので日本画のリベンジもしたいです。

D.Mくん
今回、美術展鑑賞というあまり馴染みのない事を体験しました。早起きしてまで絵を観に行くと言うのは少々憂鬱だったのですが、いざ着くと興味をそそられる作品がたくさんありました。
特に僕がそそられたのは造形で、今までは美術館にある造形はつぼのような堅苦しいものばかりだと思っていたのですが、思わず笑ってしまうような奇妙な形や、とても精密で細かい綺麗なオブジェ、そして何より題名から内容を想像するのが楽しかったです。少し美術の楽しみ方がわかったような気がしました。彫刻も本当は生きている人間なんじゃないかと推測してしまうくらいには精密さはないものの、活き活きとした迫力を感じました。平面の絵にも何個か気に入ったものがあり、美術館も悪くないものだなと思いました。また機会があれば参加したいです。

F.Tくん
私は今回、はじめて美術館というものに行った。正直なところは、私は芸術への関心は低く、今回も最初あまり乗り気ではなかった。実際に行ってみても芸術は良く分からなかった。しかし、得たものが無かったわけではない。
私は自分がよく工作(と言っても模型だが)しているからか、作品を見る時、どうやって作ったのか、どのように塗ったのか、そこばかり見ていた。特に印象に残ったのは、ボロボロになった廃車になったバスの絵だった。古くなったものというのは、ただ汚せばそれらしくなるわけではない。錆だけでなく、色々な要素を考えなければ表現できないものだ。その絵はその点が上手く表現されていた。垂れた塗料を表現したり、長い年月を経て変色してしまった部分、風雨に晒され壊れた部分、その壊れ方も壊れていく様子が想像できるぐらいリアルだった。私はその絵に釘付けになり、しばらくその場から動けなかった。
たまには、美術館も悪くないと思える総合学習だった。

H.Tくん
今まで、美術系のものには興味がなかったので、美術館には行ったことがなかったのですが、今回行ってみると作者が違うと同じ風景画でも全く違う雰囲気になっていて、とてもおもしろかったです。一つ一つの線がとても細かく美しい絵画もあれば、一つ一つの線が力強く生命を感じることができる動物の絵画、見る人によっていろいろな表情を見せてくれる幾何学の絵画など、本当に様々なジャンルの絵があり、一つ一つに圧倒されました。
絵を見て題名を自分なりに想像してみて、実際の題名とで比べることも、作者の方と自分の考え方、感じ方の違いや共通点が発見できました。
これからも、機会があれば美術館に行ってみたいです。今回は見れなかった彫刻も見てみたいと思っています。今回は、貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

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