オリエンテーション

富岡製糸場 集合写真(櫻場さんと一緒に)
富岡製糸場 集合写真(櫻場さんと一緒に)
『一日体験学習』として3回、『オリエンテーション』と名を変えて、通算6回目となりました。振り返りますと、第1回は2012年でした。5月22日に開業したスカイツリーを9月に訪れました。第2回は横浜に行きました。そして、第3回はお台場でした。第4回目からは、『オリエンテーション』と名前を新たにバス旅行となりました。バスで行くということもあり、先生方にも参加していただくようになりました。第4回は茨城県、第5回は千葉県、そして第6回目となる今回は群馬県に行ってきました。
一昨年に訪れた茨城県同様、一般的には知名度・魅力度ともに最下位になったりしている県ではありますが、生徒や先生方の感想にもあるようにとても素晴らしい場所でした。
私たちが訪れた4月14日、群馬県は桜が満開でした。穏やかな春の日差しを浴びて、一行はこんにゃくパークを皮切りに、群馬サファリパーク、富岡製糸場、ガトーフェスタ・ハラダと巡りました。
こんにゃくパーク
最初に見学したところは、「こんにゃくパーク」です。こんにゃく生産日本一の群馬県に2014年4月にオープンした「こんにゃくパーク」ですが、天候に左右されることがなく、小さな子どもからご老人までが楽しめるという利点から、既に来園者が200万人を超えたと言う人気の場所です。
こんにゃくは、「こんにゃく芋」からできるということを知らなかった生徒たち。もちろん、こんにゃく芋なんか目にしたこともなかった生徒たちは、工場見学で初めてこんにゃく芋を目にし、こんにゃくの作り方を知り、こんにゃく料理の無料食べ放題「こんにゃくバイキング」でお腹いっぱいこんにゃくを食べて、次の見学場所へと移動しました。(う~ん、たくさん食べたのは生徒たちではなく、もしかしたら先生たちだったかもしれませんね。)

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サファリパーク
続いての「群馬サファリパーク」は、アフリカ、アジア、アメリカなどの大陸に住む100種1,000頭の動物が、広大な敷地の中で野生に近い形で暮らすテーマパークです。バスでサファリゾーンに入園した私たちの目には、“野生”溢れる動物の姿が飛び込んできます。そして、バスのガイドラジオからは、アフリカ、アジアなどをイメージした7つのゾーンごとに、その場にいる動物の情報が流れてきます。猛獣と言われる動物たちも夜行性の動物が多く、お昼寝タイムでなんだか怠け者みたいにも見えてしまいますが、猛獣は猛獣。気を付けないと危ないですね。

バスで回る途中にあるウォーキングサファリゾーンでは、みながバスから降りました。ウォーキングゾーンで最初に私たちをお迎えしてくれたのは、フラミンゴ。片足立ちのフラミンゴ、よく疲れませんね…。っと、疲れるからフラミンゴは片足立ちで片足ずつ疲れをとっているという説もありましたね。あと、足を温めるためとか…。
エサを購入して、シカやラマにエサをあげている先生や生徒もいました。今にも柵を飛び越えてきそうなシカに驚きです。

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動物にエサやりをした私たちは、自分のお腹にもエサを、いや食べ物を補給しないといけない時間になりました。私たちが向かった場所は、焼肉あぐり「かぶら苑」です。5つのチーム(班ではありません、チームですね)に分かれてテーブルに着き、焼肉をいただきました。チームリーダーの先生を中心に、楽しく昼食をいただくことができました。「お肉焼けたよ」「あっ、それはまだまだダメだね~」、同じチームの子に「なんて名前?」「〇〇っぽいから、〇〇くんって呼ぼう」なんて声も聞こえたり…(笑) 用意された形のあるお弁当をいただくのもいいですが、みんなで協力しながら食事の用意をすることもとても良いものです。こんな時に、生徒と先生の交流があったりするのです。会話をしたことがない生徒と生徒の間にもしかり。

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さあ、腹ごしらえのできた私たちが次に向かったのは、2014年6月21日に世界遺産に登録された富岡製糸場です。みなさんは、日本の世界遺産をいくつ知っているでしょうか?現在、日本には文化遺産16、自然遺産4の合計20の世界遺産があります。記憶に新しいところでは、昨年7月に登録された上野にある国立西洋美術館があります。昨年、総合学習プログラムで訪れた国立科学博物館のお隣に建つ建物が国立西洋美術館ですね。西洋美術館は、20世紀を代表する建築家のひとりであるフランス人建築家ル・コルビュジエの設計により、1959年3月に竣工した歴史的建造物ですが、彼の建築作品・近代建築運動への顕著な貢献の一部として世界遺産として登録されたのです。

さて、この富岡製糸場もフランスとの関わりがあるところであります。創業当初に建てられた富岡製糸場の建造物は、横須賀製鉄所建設に携わったフランス人のオーギュスト・バスティアンが図面を引き、日本人の大工や職人によって建てられました。そして、フランス人のフランソワ・ポール・ブリュナは横浜の商館で生糸の検査人をしていましたが、蚕糸業に関する知識を見込まれ、明治政府に雇用された富岡製糸場設立の指導者です。

tomioka1  tomioka2 私たちを案内してくださったのは、ガイドの櫻場善文さんでした。私たちの誰もが、富岡製糸場を知り尽くしているからこそできる櫻場さんの分かりやすくて飽きさせないトークに惹き込まれました。もし、櫻場さんのガイドがなかったら、色々なところに世界遺産としての価値を見出すことはできなかったかもしれません。もしかしたら、観光で訪れた方々もガイドなしで回ったら「なぜ、これが世界遺産なの?」と疑問に思われる人もいるかもしれません。ガイドツアーは、本当に価値があるものだと思います。

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櫻場さんが最初に案内してくださったのは、富岡製糸場の東繭倉庫のアーチ型の上部にある「明治五年」と刻まれたキーストーン(要石)でした。この建造物全体を支える要となっている楔型の石です。明治5年は、富岡製糸場の竣工年になります。そして、富岡製糸場の煉瓦は「フランス積み」という積み方をしていて、煉瓦の目地に使われているのはセメントではなく漆喰なのだそう。使われた煉瓦は、埼玉県深谷の職人たちが、フランス人に煉瓦の作り方を教わって約70万個の瓦を製造したと。しかし、本来は赤い煉瓦ですが、富岡製糸場の煉瓦はオレンジ色です。理由は、当時の日本の煉瓦の技術がまだ未熟で、焼く温度があまり高くなかったためであるとも。櫻場さんは、検査人館、女工館、繰糸所、首長館(ブリュナ館)、寄宿舎と案内してくださいました。繭から生糸をとる作業が行われていた場所である繰糸所では、「トラス構造」という、従来の日本にない建築方法の説明があり、また、中で働いていた女工さんたちのお話も興味深いものでした。「ああ野麦峠」のイメージがある女工たちですが、実際にこの製糸場で働いていた女工さんたちは、旧藩士や士族の子女たちであり、技術を学んだ後には地元に帰って指導者になるという流れがあったそうです。今で言うキャリアウーマンにあたるのでしょうか…。また、過酷な労働で『女工哀史』というイメージも実際には一日8時間労働という、実は先進的で労働条件にも配慮されていたのだと説明してくださいました。櫻場さんは、「1つでも多くのことを皆さんに伝えたい。皆さんに見て行ってほしい。知って行ってほしい」とおっしゃって多くのことをお話してくださいました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。

日本の世界遺産は20あると言いましたが、みなさん頭の中にその世界遺産を思い描いてみてください。美しい光景がイメージされることと思います。日光東照宮の日本一美しいと言われる陽明門? 富士山? 姫路城? 京都や奈良の文化財? 屋久島? 知床? 私たちが訪れた富岡製糸場から「美」を感じた人はそう多くはないと思います。「美」という外見が世界遺産登録の条件ではないことは承知していますが、それにしても富岡製糸場から「美」は感じとれませんでした。強いて言えば、ちょうど見頃の桜と施設から見下ろす鏑川と見渡す山々でした。なぜ、富岡製糸場が世界遺産なのか。それは、私たち日本人、そう私たちの先祖たちからの働く魂というもの、日本人の技術というものが世界的に評価されたのだと感じます。それを教えてくださったのも、櫻場さんのおかげかもしれません。

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寄宿舎
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古き時代に思いを馳せて見つめる一行

櫻場さんと別れて、最後の見学地となるガトーフェスタ・ハラダに向かうバスの中では、またまた鈴木先生のバスレクが始まりました。今年のバスレクは、鈴木先生のオンステージではなく、参加した先生方も協力して楽しいバスレクが繰り広げられました。『〇〇先生を丸裸にしよう!』というゲームでは、先生にまつわる問題を先生自身が出題し、最後まで正解を出し続けた人がその先生を一番知っているということで、出題した先生からプレゼントをいただけます。例えば、原谷先生が出した問題には、「実は、私には今年小学校〇年生になる娘がいます」とか、岡本先生が出した問題では、「私の出身の村にはコンビニがあります」とかね。

 

そうこうしているうちに、最後の見学地ガトーフェスタ・ハラダに到着しました。私たちを迎え入れてくれたその建物は、ギリシャのパルテノン神殿を思わせるような外観で美しさと気品を感じました。ガトーフェスタ・ハラダのラスクは、たぶん皆さん目にしたことがあると思います。そして、口にしたことがある人も多いのではないかと思います。生徒の一人が「ガトーフェスタ・ハラダのラスクは、お菓子界のキングだ!」と言っていました。
ガトーフェスタ・ハラダでは、一日に120~130万枚のガトーラスクが生産されるという工場を見学しました。工場でしか食べられないという焼く前のフランスパンで作ったシュガートーストがとっても美味しlastかったです。工場見学の後には、それぞれにガトーフェスタ・ハラダの商品をお土産に買っていました。ハラダさんでは、その日工場でできたばかりのラスクもいただき、帰りのバスで試食しましたが、そちらももちろん最高に美味しかったです。
今回のオリエンテーションでは、欲張って4箇所もまわり、充分な時間をとれない施設もありましたが、とても良い経験ができた一日だったと思います。
ご協力いただきました施設の方々に心より感謝申し上げます。

お世話になった会社・施設

旅行会社:名鉄観光株式会社   東京中央支店

http://www.mwt.co.jp/profile/siten/3356_tokyochuo.shtml
〒104-0031 東京都中央区京橋2-7-14 ビュレックス京橋5F
TEL:03-3535-3290

バス会社:国際興業バス

http://5931bus.com/

こんにゃくパーク

http://konnyaku-park.com/
群馬県甘楽郡甘楽町大字小畑161-1
TEL:0274-60-4100

群馬サファリパーク

http://www.safari.co.jp/
群馬県富岡市岡本1番地
TEL:0274-64-2111

焼肉あぐり かぶら苑

https://r.gnavi.co.jp/b850903/
群馬県富岡市中高瀬364-4
TEL:050-3462-1836

富岡製糸場

http://www.tomioka-silk.jp/tomioka-silk-mill/
群馬県富岡市富岡1-1
TEL:0274-67-0088

ガトーフェスタ ハラダ

http://www.gateaufesta-harada.com/tour/headoffice
群馬県高崎市新町1207
TEL:0120-060-137

生徒の感想

Y.Iさん
高校生活の思い出と言えば、クラスの中にあったり、部活動の中にあったりする。行事を通じて強く残るものもあると思う。だが、この学校にはそれらがない。だが今回のオリエンテーションではよい思い出が残る経験ができた。最も印象的だった富岡製糸場には元々興味が無かった。しかし、行ってみると重々に魅力のある場所だと思った。
見るだけでは、一つ一つの建造物の後ろにある人の存在、時間の流れやそれらを加味した建物としての意味を理解することは困難だっただろう。ガイドの方の話は、富岡製糸場の意義や細部の構造、歴史背景を分かり易く伝えてくれるものだった。今まで富岡製糸場は劣悪な労働環境である、いわばブラック企業のイメージがあった。地方の士族の子女が親によって工場に引き渡されるような悲惨なものであったと学んだ記憶がある。一方でガイドの方の話では、労働時間は季節によって異なるが、七、八時間程度で居住環境も良かった。実際に見た寮からもそう受け取れた。食費や作業着代も工場から支給され、給料も能率給で実力主義であるとも知った。その後調べてその二つの差は官営だったことろ民営だったころの差であると知り、納得した。と同時に今までその一面しか知らなかったことに心疚しさを感じた。
また、当時の工女として有名な和田英など強く生きた女性への存在を知ることができ、嬉しくもあった。とある控除の辞世の句『夏の夜の夢いをさそふ時鳥我が名をあげて雲の上まで』にも、果たせなかったものの希望があり、寂しいながらも安心させた。
ネットで調べただけでは富岡製糸場の細かい構造、煉瓦や三角構造の情報には巡り着かなかったと思う。知ることにより、視点が増えて物事を立体的に捉えられるようになり、その本質に近づくのだと思う。今回はそれを強く感じた。つまらない日常だったことが思い出になると思っていたが、少し非日常の楽しさを感じることができた。

H.Oさん
正直に言いますと、群馬県に観光地としてのイメージがあまりなかったため、今回訪れてみて、魅力的な場所が様々あることを強く実感することができました。
こんにゃくパークでは、まるで遊園地のようなカラフルな外観に驚きながらも、こんにゃくについての色々な知識を得ることができ、おいしいこんにゃくを味わうことができて良かったです。
群馬サファリパークでは、動物を間近で見ることが出来ました。とても穏やかな天気だったためか、どの動物も少し眠そうだったり、眠っていたりと、気持ちよさそうな姿にとても癒されました。また、GPS機能を使ったガイドラジオというものがあることにとても驚きました。久しく動物園には行っていなかったので、現代はすごいなと、しみじみと感じました。富岡製糸場は、いつかは行ってみたいと思っていた場所の一つで、今回行くことが出来て良かったです。案内の方の説明が非常にわかりやすく、ただ普通に眺めるより何倍も楽しむことができたと思います。初めて知ることばかりでしたが、中でも、繭糸があんなにも細いことにとても驚きました。
ガトーフェスタハラダでは、焼く前のラスクがとても美味しかったことが印象に残っています。また、ラスク以外にも様々な商品が取り扱われていることを、初めて知りました。どれもおいしそうだったので、いつか食べてみたいです。
どの場所でも新たな知識を得ることができ、とても面白かったです。もう一度行って、じっくりと見てみたい場所ばかりでした。今回のオリエンテーションに携われた方々全員に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

先生の感想

原谷先生
毎年、バス旅行は楽しみにしている。
子供の頃は、こういう学校の行事にはあまり積極的ではなかった。
今回、いちばん印象に残ったのは、富岡製糸場のガイドさん。
とても話が上手で引き込まれた。
教師として、人を惹きつける話術には憧れる。
たった百数十年前に起きた日本の変革、その当時の普通の日本人たちの思想や行動の記憶が詰まっている。
「日本人」であることなんて、年を取るまであまり意識をすることはなかったけれど、こういう歴史的遺産を訪れると、誇りに思う。やはり、先祖がいるから今の自分たちがあるし、このあと、子孫たちが続いていく。最近、「日本人はスゴイ」というのをアピールするテレビ番組が多くて気持ち悪い、と言う意見を聞いたことがある。若い時には、そんな否定的な態度がカッコイイと感じた頃もあった。年を取ると、こういう態度も変わる。
一回りしてきて、ネガティブなマインドの方がよっぽどカッコ悪いと思うようになった。不満なことがあるなら、昔の日本人のように何か変化を起こせばよいだろう。できなければ、黙っている。少なくとも、頑張っている他人を貶めすようなことをしてはいけない。
こんにゃくパーク、サファリパークもとても面白かった。
世の中には、色々な職業があること自体が興味深い。探せば、自分の居場所はいくらでもある。こんなことも、若い時には考えなかった。
バス旅行は、いろいろなことを考えさせられる。子供の時には気づかなかったけれど、これが「見聞を広める」ということなのだと思う。
来年の旅行も、今からとても楽しみにしています。

岡本先生
ひとつの大きなテーマは、生徒の授業以外での素顔をみることで、授業中はあまり話をしない生徒もバスの中ではけっこう饒舌なところを見て、新たな一面に気づかされました。これは生徒にとっても同様で、普段は授業だけでしか話をしない私の個人的な事柄や性格を少しでも知ってもらえれば、今後の対応の仕方に多少生かされるかもしれないと感じました。それでも互いにほんの一部の事に過ぎないでしょうから、こういった機会を増やしていきたいと思います。
サファリパークでは、時間の制限もあったのでしょうが、バスを止めて動物を見ていたいと思いました。

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